積層セラミックコンデンサ(MLCC)誘電体薄層素子としてのBTセラミック材料設計と長期信頼性【アーカイブにて別日視聴可能】
★2025年12月10日オンライン開講。【(元)村田製作所/(現)和田技術士事務所・代表:和田氏】が、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の粉末合成から格子欠陥制御、長期信頼性について解説する講座です。
■本講座の注目ポイント
講演日以降でもアーカイブ視聴可能です(12/15~12/26の期間)
スマートフォンから車載電子機器まで幅広く利用されるMLCC。性能を左右するBTセラミック材料の合成法、組成設計、信頼性確保のポイントを解説します。内部電極との相互作用や故障メカニズムの理解を深め、実務に直結する開発・評価の知識を提供します。
- 和田技術士事務所 代表 和田 信之 氏
●1名様 :38,500円(税込、資料作成費用を含む)
●2名様以上:16,500円(お一人につき)
※受講料の振り込みは、開催翌月の月末までで問題ありません
定員:30名
※ お申し込み後、受講票と請求書のURLが自動で返信されます。基本的にはこちらで受付完了です。開催前日16:00までに再度最終のご連絡をいたします。請求書と受講票は郵送ではないため必ずダウンロードください。また、同時に送られるWEBセミナー利用規約・マニュアルを必ずご確認ください。
※ セミナー前日夕方16:00までにWEB会議のURL、事前配布資料のパスワードについて、別途メールでご案内いたします。基本的にはマイページからのダウンロードの流れとなります。なお、事前配布資料については、講師側の作成完了次第のお知らせになりますので、この点、ご理解のほどお願い申し上げます。
※ 請求書の宛名の「株式会社」や「(株)」の「会社名の表記」は、お客様の入力通りになりますので、ご希望の表記で入力をお願いします。
※ お支払いは銀行振込、クレジット決済も可能です。銀行振込でお支払いの場合、開催月の翌月末までにお支払いください。お支払いの際は、社名の前に請求書番号をご入力ください。
※ 領収書のご要望があれば、お申込み時、領収書要にチェックを入れてください。
※ 2名以上でお申し込みをされた場合は、受講票と請求書を代表者様にご連絡します。
※ 当講座では、同一部署の申込者様からのご紹介があれば、何名でもお1人につき16,500円で追加申し込みいただけます (申込者様は正規料金、お2人目以降は16,500円となります)。追加の際は、申し込まれる方が追加の方を取りまとめいただくか、申込時期が異なる場合は紹介者様のお名前を備考欄にお書きくださいますようお願いいたします。
※ なお、ご参加手続きの際、自宅住所やフリーアドレス、個人携帯番号のみで登録された場合は、ご所属確認をさせいただくことがございます。
【時間】 13:30-16:30
【講師】和田技術士事務所 代表 和田 信之 氏
【講演主旨】
本セミナーでは、MLCCのセラミックス材料設計の視点からMLCC開発の技術動向を概説します。
主にNi内部電極MLCCで薄層素子に必要な微細なBaTiO3 (BT) 粉末の合成、および薄層素子用BT誘電体セラミックス材料開発に必要な設計要素として、酸素空孔などの格子欠陥の生成、ドナーやアクセプター元素などによる異種元素置換による格子欠陥制御など、材料組成開発の考え方を説明します。
BTの格子欠陥制御の仕組みを知ることで、どのようにそれらがMLCCの電気伝導や長期信頼性に関わり、高性能MLCCが開発・製造できてくるのかが理解できるようになります。また、BT材料の技術開発動向を4世代に分類し、技術の流れに沿って、現在および今後の材料技術の方向性を示します。
MLCC製造プロセス、品質管理、および故障解析などMLCCに関わる業務を進める上で、セラミックス材料の本質的な理解はいろいろなプロセス技術課題の対応、施策に大いに参考になるものと考えます。
【講演のポイント】
Ni内部電極MLCCに用いられるBTセラミックスの強誘電体性質、酸化還元特性、ドナー元素、アクセプター元素による格子欠陥制御、電気伝導特性、摩耗故障の挙動を説明し、MLCCの信頼性に関わるBTセラミックの技術ポイントを概説する。
【習得できる知識】
①セラミックス、コンデンサ、MLCCに関する基礎知識
②BT基礎知識
③酸化物の格子欠陥と酸素空孔生成
④酸素空孔移動制御
⑤電気伝導と信頼性
⑥BTセラミック材料の開発動向
【講演キーワード】
MLCC、誘電体材料、Ni内部電極、 BTセラミックス、強誘電性、還元焼成、格子欠陥、会合欠陥、酸素空孔、電気伝導、長期信頼性、加速性試験
【プログラム】
1. 積層セラミックコンデンサ (MLCC) の基礎
1.1 セラミックスの基礎
・焼結
・平衡状態図
・コンデンサの分類
1.2 コンデンサの概要
・コンデンサの分類
・コンデンサの生産統計
・チップサイズ
・コンデンサの用途
1.3 コンデンサのインピーダンス特性
・コンデンサの等価回路
・インピーダンス特性と
・コンデンサの用途(デカップリング)
1.4 MLCCの概要
・温度補償系誘電体材料
・高誘電率系誘電体材料 F特性 B特性
1.5 Ni内部電極MLCC
・内部電極金属の酸化
・非還元誘電体材料の開発
・MLCC用BTセラミック誘電体材料の変遷
・Ni内部電極MLCC生産個数の変遷
2. BaTiO3 (BT) 誘電体セラミックスの基礎
2.1 BTの強誘電性
・BTの強誘電性と誘電分極
・BTの相転移
・BTのヒステリシスとDCバイアス特性
・BTのサイズ効果
2.2 微粒BT粉末の合成
・固相法
・シュウ酸法
・水熱法
・加水分解法
・微粒BT粉末のc/a軸比
2.3 BTセラミックスの構造
・コアシェル構造とその役割
・粒成長と不均一歪
・不均一歪みと粒界の関係
・BTセラミックス比誘電率温度特性への粒成長の影響
2.4 B特性BTセラミックスの組成設計
・Aサイト Bサイト
・平衡状態図
・B特性原料の製造プロセス
・B特性原料添加成分の分散性
2.5 粒界の役割
・粒界のシミュレーション
・酸素空孔トラップのシミュレーション
・粒界での元素偏析分析例
・粒界数と長期信頼性
3. Ni内部電極MLCC対応のBT材料
3.1 酸化物の還元現象の熱力学
・酸化と還元の熱力学概要
・ギブスの生成自由エネルギー
・酸化還元平衡図(エリンガム図)
・平衡酸素分圧の計算
3.2 BTの酸素空孔生成
・酸素空孔濃度
・酸素空孔濃度の温度依存性、酸素分圧依存性
・異種元素置換(アクセプター、ドナー)による格子欠陥
・化学量論比の影響
3.3 MLCC用BTセラミック誘電体材料の変遷
3.3.1 アクセプター元素が固溶した BaTiO3 F特性材料 (1980年代)
・半導体化防止
・酸素空孔の酸素分圧依存性
・酸素空孔導入の課題
3.3.2 アクセプター、ドナー元素が固溶した BaTiO3 F特性材料 (1990年代)
・ドナー元素置換の狙い
・酸素空孔移動の分子動力学シミュレーション
・酸素空孔サイトの第一原理シミュレーション
3.3.3 ドナー元素を添加した BaTiO3 B特性コアシェル材料 (1990年代~)
・コアシェル構造のTEMマッピング
・希土類元素の違いによる電気伝導、信頼性
3.3.4 アクセプター元素が固溶した(Ba,Ca)TiO3にドナー元素を添加したB特性コアシェル材料 (2000年代~)
・Ca固溶の格子容積
・Ca固溶による信頼性向上
4. BTセラミックスの長期信頼性
4.1 BTセラミックスの電気伝導性
・バンド図、格子欠陥準位、
・電気伝導温度依存性、電極界面での電位障壁
・オーム則、バンド伝導、ドリフト電流
4.2 高電界での電気伝導
・空間制限電流、チャイルド則
・プールフレンケル放出電流、ショットキー放出電流
・劣化したMLCCの電気伝導
4.3 BTでの酸素空孔移動現象
・ケルビンフォース顕微鏡での分析例
・摩耗故障、活性化エネルギー、酸素空孔移動模式図
・電子エネルギー損失分光(EELS)での分析例
・X線吸収スペクトル(XAS)での分析例
4.4 MLCCの摩耗故障と加速性
・故障率曲線と摩耗故障
・摩耗故障の加速性(アレニウスプロット評価)
・温度加速、電圧加速
・電界集中のシミュレーション
・走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)による摩耗故障品分析例
4.5 高温、高電圧対応の材料
・車載用高電圧対応BT材料
・車載用高温対応BT材料
・高信頼性BT材料
・Ni内部電極組成と信頼性
・CaZrO3材料
【質疑応答】
※当日以外のアーカイブ視聴をご希望の方は、お申込みの備考欄に『当日以外のアーカイブ視聴希望』をご記入ください
※受講料のお振込は、セミナー開催月の翌月末までで問題ありません