青果物における鮮度低下メカニズム・鮮度評価法と品質保持の最新技術・包装設計~MAP、湿度制御、輸出対応、貯蔵・保存ニーズ、無効通気性フィルム~
★鮮度低下機作や鮮度評価法についての最新の研究成果を解説!
★青果物における「貯蔵・保存ニーズ」とは?
★穴を開けずに通気性を付与した無孔通気性フィルムの原理について解説!
※本セミナーは、2019年2月25日に実施したセミナー資料です
執筆者
目次
第1部 青果物の鮮度低下機作とフィルム包装設計・客観的鮮度評価
講師: 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 准教授 牧野 義雄 氏
【著作・受賞・経歴】
(著書)
青果物の鮮度・栄養・品質保持技術としての各種フィルム・包装での最適設計(AndTech)
機能性植物が秘めるビジネスチャンス(情報機構)
農産食品プロセス工学(文永堂出版)
農産物・食品検査法の新展開(シーエムシー出版)
ほか多数。
(受賞)
平成13年6月:日本包装学会賞
平成21年5月:日本冷凍空調学会学術賞
平成25年9月:日本生物環境工学会論文賞
平成27年9月:日本生物環境工学会生物環境システム科学賞
平成30年5月:日本農業工学会フェロー
ほか多数。
(経歴)
昭和38年6月:岡山県児島市(現倉敷市)生まれ
昭和61年3月:香川大学農学部卒業
昭和61年4月:香川県庁に入庁
昭和61年5月:農業試験場、食品試験場、発酵食品試験場、商工労働部、産業技術センターにて勤務(平成16年6月まで)
平成9年7月:京都大学にて博士(農学)の学位取得
平成16年7月:東京大学 大学院農学生命科学研究科 講師
平成19年7月:同 准教授
現在に至る。
【講演主旨】
包装は青果物の鮮度保持のため有効な手段の1つである。しかし青果物は、肉や魚など他の生鮮食品とは異なり、収穫後であっても生き続けている点に特徴があり、包装貯蔵においてはこの点に配慮した技法が求められる。そのためには、青果物の収穫後生理に関わる現象を的確に把握したうえで、効果的な貯蔵に必要な性能を包装資材に付与することが必要である。本講演では、包装方法を決めるうえで参考となる鮮度低下機作や鮮度評価法について、メタボロミクス代謝解析や機械学習を活用した最新の研究成果と併せて解説するとともに、効果的な包装貯蔵法について紹介する。
【キーワード】
1. 鮮度保持
2. 鮮度評価
3. 収穫後生理
4. 包装容器
5. 機能性成分
6. メタボロミクス
7. 機械学習
【プログラム】
1. 青果物の収穫後生理と品質変化
1-1 収穫後鮮度低下の機作
1-2 呼吸
1-3 蒸散
1-4 クライマクテリックライズ
1-5 追熟
2. 青果物の鮮度評価
2-1 鮮度の重要性
2-2 鮮度とは?
2-3 主な鮮度評価指標
2-4 水分・目減り・萎凋
2-5 外観色
2-6 L-アスコルビン酸
2-7 軟化
2-8 細胞膜劣化
2-9 鮮度評価法に関する最新の研究成果
2-10 鮮度評価の現状と課題
3. 青果物の鮮度低下と貯蔵環境
3-1 温・湿度
3-2 気体組成
3-3 エチレン
3-4 物理的衝撃・振動
3-5 鮮度評価の現状と課題
4. 包装による湿度制御
4-1 防曇ポリプロピレン包装
4-2 ハンカチ包装
4-3 過湿抑制包装
5. Modified Atmosphere Packaging (MAP)
5-1 基本的原理
5-2 包装設計
5-3 MAP用包装資材
5-4 MAPの鮮度保持機作-最新の研究知見より-
5-5 MAPによる野菜の品質向上
5-6 機械学習によるMAP包装野菜の代謝解析
6. まとめ
第2部 輸出にも対応する収穫後青果物へのポストハーベスト・テクノロジー
講師: 東京農業大学 農学部 農学科 教授 馬場 正 氏
【講演主旨】
野菜や果物に新たな「貯蔵・保存ニーズ」がうまれています。今まではつくってすぐ売ればよかったイチゴでも、たとえば輸出を考えると1か月程度、鮮度を保持する貯蔵技術が必要となります。またカットキャベツでは消費期限を1日でも延ばせれば大きな利益が生じます。現在の社会情勢を背景に生まれてきた「貯蔵・保存ニーズ」について解説し、それを実現する最新のポストハーベスト・テクノロジーを紹介します。さらに、これらの技術の社会実装に向けた取り組みを、キャベツ、イチゴ、トマト、ブルーベリー、リンゴなど具体的な事例を挙げながら詳細に説明します。
【キーワード】
1.青果物輸出
2.鮮度保持
3.カット野菜、カットフルーツ
【プログラム】
1.青果物の新たな「貯蔵・保存ニーズ」の創生
1-1 農産物輸出への対応
1-2 機能性青果物の貯蔵ニーズ
1-3 加工・業務用青果物の安定供給
1-4 カット野菜、カットフルーツの消費期限の延長
2.貯蔵・保存ニーズに応える最新のポストハーベスト・テクノロジー
2-1 温度制御精度の高い冷蔵庫
2-2 多様なフィルムの利用
2-3 ガス濃度調整による鮮度保持
2-4 エチレン作用阻害剤1-MCP
2-5 ヒートショック処理
3.イチゴ、トマトも「貯蔵して売る」
3-1 かびの発生抑制テクノロジー
3-2 低温障害軽減テクノロジー
4.国産ブルーベリーをクリスマスケーキに
4-1 香りも保持する超長期貯蔵技術
4-2 その他の小果樹類への応用
5.CA貯蔵にも負けない「雪室」貯蔵テクノロジー
5-1 長野県産リンゴを雪室で長期貯蔵
5-2 野菜も雪室で貯蔵する
6.まとめ
第3部 無孔通気性フィルムによる鮮度保持包材の開発事例
講師: フタムラ化学(株) 中部統括 開発グループ グループリーダー 花市 岳 氏
【講演趣旨】
近年、青果物流通に包装がされるような時代になり、スーパーだけでなくコンビニエンスストアでも青果物を積極的に置くようになった。販売網が広がったことでコールドチェーンだけでなく、青果物の呼吸を妨げないように包材の通気性を上げる取組も重要になってきている。実際、一日でも長く品質を保つことは収益に直結することになるため、各社はこの通気性コントロール技術に余念がない。一般的にフィルムに通気性を持たすためにはレーザー等の小さな穴を開ける技術が浸透しているが、本セミナーでは穴を開けずに通気性を付与した無孔通気性フィルムの原理と他社技術との違いを中心に説明する。
【キーワード】
1.無孔
2.微孔
3.活性フィルム
4.通気性
5.防曇性
6.レーザー
7.大谷石
【プログラム】
1.青果物包装の現状
1-1 3分の1ルール
1-2 賞味期限と消費期限
1-3 青果物販売の傾向
1-4 鮮度保持包装の市場規模
2.防曇フィルム
2-1 防曇剤の構造
2-2 発現のメカニズム
2-3 通気防曇性
3.無孔通気性フィルム
3-1 微孔フィルム
3-2 活性フィルム
3-3 無孔通気性フィルム「ポロフレッシュ」とは
3-4 通気性の違い
3-5 脱酸素包装と見栄え改善の例
4.おわりに
4-1 フィルム包装以外の鮮度保持手法
4-2 人口と農業と包装