AT20230425:EV・車載用リチウムイオン電池リサイクルの最新動向と今後の展望
★中古EV用リチウムイオン電池のリユース/リサイクル技術の開発状況やコスト構造などビジネスに関わる情報を解説!
★EUの政策とそれに適応する民間企業との関係に焦点を当て、今後の関連するビジネスの進め方、展開に示唆となる情報を解説!
★残存価値のある中古車載電池を循環利用することで、環境負荷の低減を目指した取り組みを紹介!
★車両の電動化を含めた目標達成のための具体的な事例や持続可能社会実現のための自動車メーカーの考え方について紹介!
※このテキストは2023年4月25日に実施したセミナー資料です。
執筆者
第1部 山口大学 大学院技術経営研究科 研究科長 教授 福代 和宏 氏
第2部 公益財団法人日本生産性本部 /上智大学大学院
エコ・マネジメント・センター長 / 地球環境学研究科 非常勤講師 喜多川 和典 氏
第3部 株式会社リコー RICOH Digital Services BU 環境・エネルギー事業センター
第2開発室 開発2グループ リーダー 福家 正剛 氏
第4部 ビー・エム・ダブリュー株式会社
デベロップメント・ジャパン テクノロジー・オフィス マネジャー 繁田 徳彦 氏
目次
【第1講】 リチウムイオン二次電池ビジネスとリサイクル事業の重要性
【講師】山口大学 大学院技術経営研究科 研究科長 教授 福代 和宏 氏
【主旨】
2021年末,世界の電気自動車(Electric vehicles)保有台数は世界で1650万台に達した模様である。コロナ禍やウクライナ危機にも関わらず市場は順調に成長している。今後予想されるのが、膨大な量の中古EV用リチウムイオン電池の発生である。本講座ではまず,中古EV用リチウムイオン電池のリユース/リサイクル技術の開発状況を確認する。そして,リユース/リサイクルに関わるコストについて検討した上で,ビジネスの可能性を探る。
【キーワード】
車載用リチウムイオン電池,LiB,リチウムイオン電池のリサイクル,リチウムイオン電池のリユース
【ポイント】
車載用リチウムイオン電池のリユース/リサイクル技術に関する情報は様々なセミナーで提供されていますが,リユース/リサイクルのコスト構造などビジネスに関わる情報は本セミナー等限られたところでしか提供されていません。
【習得できる知識】
湿式精錬,乾式精錬,診断技術など車載用リチウムイオン電池のリユース/リサイクル技術の現状を知ることができる。
リユース/リサイクルのコスト構造を理解できる。
【目次】
1.電気自動車(EV)の市場動向
1-1 市場の動向
・ 中国市場
・ 欧米市場
・ 日本市場
1-2 地球環境問題との関係
・ 地球環境へのインパクト
2.リユース/リサイクルの必要性
2-1 リチウムイオン電池の構成
2-2 ポストリチウムイオン電池の状況
2-3 正極材の状況
3.リサイクル技術
3-1 回収,解体
3-2 狭義のリサイクル
4.リサイクルビジネス
4-1 世界のリサイクル企業
4-2 収益性評価
5.リユース技術
5-1 診断技術
5-2 利用に関する技術開発
6.リユースビジネス
6-1 レンタル,シェアリング
6-2 ビジネスの複合化
【第2講】 EU欧州電池指令とEVバッテリーリサイクル戦略の動向
【講師】公益財団法人日本生産性本部 /上智大学大学院
エコ・マネジメント・センター長 / 地球環境学研究科 非常勤講師 喜多川 和典 氏
【主旨】
EU電池規則が公表した法案は、製品の全ライフサイクルにわたる管理を義務づける内容となっている。
また、EUが今後幅広い製品品目に展開することを考えているデジタル製品パスポートを、他の品目に先駆けて適用する規定も盛り込まれた。
EUにおいても前例のない、「製造~消費~再使用(セカンドライフ)~リサイクル~二次材強制利用」に関わる一連のプロセスにおいて、難易度の高い要求事項が導入される見込みである。
このような諸々の課題への対処は、これまでの自動車・電池ビジネスのやり方では乗り切るのは難しく、欧州では様々な問題解決型のビジネスモデルの開発をはじめ、企業の取り組みが活発化してきている。
本講座では、これらのEUにおける動向について、法律面、企業の対応を含め、幅広く解説する。
【キーワード】
サーキュラーエコノミー、EUバッテリー規則、リチウムイオン電池リサイクル、バッテリーセカンドライフ、電池リサイクルビジネス
【ポイント】
講師は、EUの資源循環政策を30年以上にわたり継続的に調査研究してきており、今回の電池規則法のみならず、その歴史的経緯をはじめとする背景や狙いについても熟知している。本政策についても欧州委担当者などと直接連絡を取っており、その実行可能性についても議論してきた。
本講義では、EUの政策とそれに適応する民間企業との関係に焦点を当て、今後の関連するビジネスの進め方、展開に示唆となる情報を共有したい。
【習得できる知識】
EUにおけるEVバッテリーに関わる、資源循環政策、民間企業におけるセカンドライフ利用およびリサイクルに関わるビジネスの進め方などについて、全体像を理解できる。
【プログラム】
1.EUバッテリー規則の改正案の概要
2.欧州におけるリチウムイオン電池リサイクル施設の開発状況
3.EVバッテリーのセカンドライフに対応したビジネスの展開事例
4.EUにおける電池リサイクルビジネスの新規開発に関するケーススタディ
5.欧州自動車メーカーの動向
【第3講】 車載用リチウムイオン電池のリユースにおける低コスト検査技術
【講師】株式会社リコー
RICOH Digital Services BU 環境・エネルギー事業センター 第2開発室 開発2グループ リーダー 福家 正剛 氏
【主旨】
電動化が進む次世代自動車の割合は年々増加しており、特に国内においてはハイブリッド車(HEV)の販売台数が圧倒的に多く、2018年には約143万台(一社;次世代自動車振興センター資料)になっている。今後、廃車時の電気自動車(EV)から回収される車載LiBの増加も見込まれる。しかし、車載LiBは車両へのリユースニーズが少なく、車載以外の循環利用の探索が必要である。
上記の背景から、車載LiBを車両以外の製品にリマニュファクチャリングし、循環利用することでCO2削減を図り、新たなリユースビジネスを構築するための開発を行っている。中古電池を受入れる際の検査コストを低減するための技術を中心とした開発事例を紹介する。(本開発事例は環境省からの委託事業で実施した内容になります。)
【キーワード】
リチウムイオン電池リユース、車載電池リユース、リユース電池搭載蓄電システム
【ポイント】
残存価値のある中古車載電池を循環利用することで、環境負荷の低減を目指した取り組みをご紹介する。
【習得できる知識】
中古電池の循環利用スキームの1例を知ることができる。
【目次】
1.リコーグループ/リコー環境事業開発センターの取り組み
1-1 リコーグループの環境経営への取り組み
1-2 リコー環境事業開発センターの取り組み
1-3 リユース・リサイクルセンターの取り組み
2.令和3年度 環境省委託事業
2-1 事業概要
2-2 背景・課題
2-3 ビジネスモデル検証
2-4 システム概要
3.LiBの低コスト検査技術
3-1 技術背景
3-2 HEV用LiBに残存する蓄電電力量
3-3 低コスト検査技術の原理
3-4 残存する電力量を用いた測定プロセス
3-5 実験方法
3-6 実験結果と考察
【第4講】 BMWグループにおけるサステナビリティー
【講師】ビー・エム・ダブリュー株式会社
デベロップメント・ジャパン テクノロジー・オフィス マネジャー 繁田 徳彦 氏
【主旨】
2015年のパリ協定にて全世界の気温上昇を産業革命前比1.5℃に抑える目標が示されて以来、世界中の様々な企業が具体的な温室効果ガス排出削減目標を掲げている。ビー・エム・ダブリューグループは、ドイツの自動車メーカーとして初めてこの協定に基づくSBTi(Science Based Targets initiative)に参加した企業である。本講座では、車両の電動化を含め、その目標達成のための具体的な事例について、また持続可能社会実現のためのグループの考え方について紹介する。
【キーワード】
SBTi(Science Based Targets initiative)、サスティナビリティ、リサイクル、リユース、カーボンニュートラル、車載電池、CO2排出量削減、再生可能電力
【ポイント】
欧州自動車OEMの温室効果ガス排出削減に対する考え方や、その具体的な取り組みについて解説する。
【習得できる知識】
EUにおけるEVバッテリーに関わる、資源循環政策、民間企業におけるセカンドライフ利用およびリサイクルに関わるビジネスの進め方などについて、全体像を理解できる。
【目次】
1.EUにおける気候変動政策
2.BMWグループ企業戦略の中心としての持続性社会達成
2.1 バリューチェーンに対する全方位的アプローチ
2.2 責任ある原材料調達および天然資源の保護
2.3 グリ-ン電力の導入
2.4 持続可能実現のための循環型経済
2.5 効果的な循環型経済の基盤となる革新的リサイクルプロセス
2.6 持続的な生産プロセス:CO2、廃棄物、水の削減
2.7 環境への責任
3.中国における高電圧バッテリーの循環型リサイクル構築
3.1 バッテリー再利用とリサイクルのための一貫した履歴管理
4.まとめ