再生可能エネルギー導入に向けたレドックスフロー電池の開発最前線

★待ったなしの再生可能エネルギー導入に向け,蓄電池技術の向上は喫緊の課題!
★大容量かつ長時間の電力貯蔵技術として実用化が期待されるレドックスフロー電池!
★最近の研究動向ならびに,電解液・電極材料・発電システム設計・性能評価について詳述!
番号
1238
ISBN
978-4-7813-1742-7
監修
佐藤 縁
発行年月
2023/06/29
体裁
B5判, 263ページ
フォーマット
紙版
定価
69,300 円(本体63,000円+消費税、送料込)
冊数:

執筆者

佐藤 縁   (国研)産業技術総合研究所
津島将司   大阪大学
鈴木崇弘   大阪大学
太田一平   特許庁
重松敏夫   住友電気工業㈱
森内清晃   住友電気工業㈱
原田達朗   LE システム㈱
大平昭博   (国研)産業技術総合研究所
酒井孝明   (国研)産業技術総合研究所
兼賀量一   (国研)産業技術総合研究所
伊藤渉太   ㈱日立製作所
土肥 稔   静岡理工科大学
石飛宏和   群馬大学
中鉢智士   山形大学
吉田 司   山形大学
滝本大裕   琉球大学
鶴田大毅   西松建設㈱
杉田 武   LE システム㈱
松浦宏昭   埼玉工業大学
関根 忍   トヨタ自動車㈱   
川合博之   トヨタ自動車㈱
北野利一   住友電気工業㈱
大岡俊夫   住友電気工業㈱
長岡良行   住友電気工業㈱
藤川一洋   住友電気工業㈱
柴田俊和   住友電気工業㈱
矢野 孝   Sumitomo Electric U.S.A., Inc.
糸井弘行   愛知工業大学
田部 豊   北海道大学
矢地謙太郎  大阪大学
舩木 敬   (国研)産業技術総合研究所
朝倉大輔   (国研)産業技術総合研究所
細野英司   (国研)産業技術総合研究所
小柳津研一  早稲田大学
鈴木誠一   成蹊大学
吉原佐知雄  宇都宮大学
清水剛志   米子工業高等専門学校
谷藤尚貴   米子工業高等専門学校
吉川浩史   関西学院大学
加藤 南   (国研)産業技術総合研究所

目次

【刊行にあたって】
「カーボンニュートラル」という言葉は,今は我々の日常生活の場でも広く浸透しており,この言葉を聞かない日はない。昨今,誰もがここ最近の気候変動の激しさを身近で感じることが増え,地球温暖化を防ごう,温室効果ガスを排出しない生活をしよう,再生可能エネルギーをできるだけ利用しよう,という機運が一般の生活の場でも一層高まっている。我が国のエネルギー政策の基本的な方向を示すエネルギー基本計画は2018 年に第5 次が出たが,さらなる脱炭素化に向けた世界的な急速な動き,エネルギー安全保障における緊張感の高まり等,急速な情勢変化を受けて,新たに2021 年10 月に第6 次エネルギー基本計画(経済産業省)が策定された。既に2020 年に表明されていた2050 年カーボンニュートラル宣言を受けてのエネルギー政策の道筋,気候変動対策を進めながら日本のエネルギー需給構造の課題克服のためのエネルギーの安定供給・コスト低減に向けた取組,が重要なテーマとして策定された。
 もうすぐレドックスフロー電池はその原理が開発されてからちょうど50 周年を迎える。アメリカではNASAのL.H. Thaller 博士が1974 年,そしてちょうど半年後の1975 年に日本の電総研(産総研の前身の研究所のひとつ)で野﨑氏により原理検証され研究が本格的に開始した。それからもうすぐ50 年である。そのような記念すべき状況で,今回はレドックスフロー電池技術開発,研究に関係する方々より執筆いただき,レドックスフロー電池が再生可能エネルギー利用に果たす役割,期待が寄せられている新しい材料開発(電解液,電極等),新規分析方法,開発動向の変化や現状,導入事例の変化,システム開発等の広範にわたる内容について,その最新情報を本書に集めた。欧米,中国等に比べると研究者層も極めて少なく,研究自体の盛り上がり方もまだまだこれからであろうという状況において,それでも我が国で進めているレドックスフロー電池の研究・技術水準が極めて高く,非常に大きなポテンシャルがあることをここに確認できることと期待している。

佐藤 縁
(本書「刊行にあたって」より抜粋)


【目次】

【第1編:最近の技術動向】
第1章 高性能レドックスフロー電池への展開
1 はじめに
2 レドックスフロー電池の高性能化とは
3 レドックスフロー電池の各種効率
4 レドックスフロー電池の性能向上と要素技術
5 まとめ

第2章 レドックスフロー電池の技術開発動向
1 はじめに
2 電力貯蔵技術におけるレドックスフロー電池
2.1 電力貯蔵用の蓄電池
2.2 レドックスフロー電池
2.3 レドックスフロー電池の特徴と期待される役割
3 市場動向
4 レドックスフロー電池の技術開発動向
5 支援動向
6 特許出願動向
6.1 全体動向
6.2 技術区分別動向
6.3 出願人別動向
7 研究開発動向
7.1 全体動向
7.2 研究者所属機関別動向
8 提言

第3章 レドックスフロー電池の導入事例と開発動向
1 RF電池の開発経緯
2 RF電池の導入事例
2.1 北海道電力ネットワークで運用中のRF電池設備(2015)[15MW×4h]
2.2 米国カリフォルニア州のRF電池設備(2017)[2MW×4h]
2.3 北海道電力ネットワークで運用中のRF電池設備(2022)[17MW×3h]
2.4 その他の世界動向
3 RF電池の最近の動向
3.1 取り巻く電力事情の変化
3.2 RF電池の最近の開発動向

【第2編:要素技術】
<電解液>
第4章 未利用資源からのバナジウム回収とレドックスフロー電池用電解液の製造
1 未利用資源からのバナジウム回収
2 バナジウムレドックスフロー電池用電解液製造

第5章 バナジウム代替金属系電解液の開発状況
1 はじめに
2 チタン-マンガン系電解液の開発状況
3 チタン-マンガン系電解液のレドックスフロー電池性能
4 その他のバナジウム代替電解液
5 おわりに

第6章 水溶液中における疎水性ヨウ素複合体の生成と亜鉛ヨウ素レドックスフロー電池への応用
1 はじめに
2 実験方法
2.1 試料の準備
2.2 機器測定
2.3 電池構成
3 実験結果と考察
3.1 ポリヨウ素複合体の生成
3.2 ポリヨウ素複合体の分析
3.3 一液系Zn/I-RFBの動作検証
4 おわりに

<電極材料>
第7章 金被覆電極を用いたフローレスレドックス電池の耐久性
1 はじめに
2 金のスパッタリングによるFLRBの耐久性向上
2.1 フローレスレドックス電池の作製
2.2 充放電実験
2.3 実験結果と考察
3 金箔を用いたFLRBの耐久性向上
4 まとめ

第8章 レドックスフロー電池の電極に適したシームレスカーボン材料
1 はじめに
2 カーボンマトリックスの結晶性と電極活性
3 対称セルを用いた物質輸送解析
4 様々な連通孔径における圧力損失の実測
5 まとめと展望

第9章 亜鉛/テレフタル酸金属有機構造体を負極材料に用いたレドックス電池の評価
1 はじめに
2 金属有機構造体(Metal Organic Framework, MOF)とは
3 MOFのバッテリーへの応用
4 亜鉛-テレフタル酸金属有機構造体(Zn-TPA MOF)の合成
5 Zn-TPA MOFの酸化還元特性評価
6 Zn-TPA MOFの充放電特性評価
7 今後の展望

第10章 ナノ空間にレドックス活性分子を束縛させたスラリー電極の開発
1 はじめに
2 キノン誘導体の電極反応特性
3 ナノ空間の特異的な現象
4 ナノ空間に起因する特異的な電極応答の検討
5 マイクロポア中におけるBQDSの吸着状態
6 高速充放電型レドックスフロー流動電極
7 優れたパワー・エネルギー密度を達成しうるスラリー電極の設計指針
8 まとめ

<発電システムの設計・開発>
第11章 再生可能エネルギーを導入促進するレドックスフロー電池システムの開発
1 はじめに
2 20kW-VRFBシステム実証試験装置の開発の目的
2.1 太陽光発電の余剰電力の活用
2.2 再エネの変動吸収
3 20kW-VRFBシステム実証試験装置の概要
4 システム機器の選定
4.1 初充電機能
4.2 機器同士の動作電圧のマッチング
4.3 双方向PCSや双方向DC/DCコンバータの定電圧モードと電圧自動調整機能
5 開発したVRFBのセルスタック性能試験と接続構成
6 太陽光発電の余剰電力活用試験でのシステム機器動作と試験結果
7 太陽光発電の出力変動吸収試験でのシステム機器動作と試験結果
8 課題と今後の展開

第12章 レドックスフロー電池を中核とした電力需給システムの構築
1 はじめに
2 レドックスフロー電池の競争優位性とその活用場面
3 レドックスフロー電池の研究開発における埼玉工業大学(埼工大)としての取り組み
4 おわりに

第13章 レドックスフロー燃料電池の車載性検討
1 はじめに
2 実験方法
2.1 POM
2.2 POM単体による物性評価
2.3 再生循環試験
2.4 POMの酸化状態
3 実験結果
3.1 POMの基本物性
3.2 再生循環試験
3.3 POMの酸化状態
3.4 車載可能性の検討
4 まとめ

第14章 レドックスフロー電池のマルチユース実証
1 はじめに
2 蓄電池のマルチユース
3 RF電池のマルチユース実証事例
3.1 配電網(Distribution)でのマルチユース
3.2 卸売市場(Wholesale Market)でのマルチユース
3.3 卸売市場と配電網でのマルチユース
4 RF電池実証設備の長期性能評価
5 おわりに

<性能評価>
第15章 キノン系化合物と多孔質炭素との複合化とその電気化学キャパシタ特性評価
1 はじめに
2 キノン系化合物の多孔質炭素細孔内部への複合化
3 キャラクタリゼーション
4 電気化学キャパシタ特性評価

第16章 電極構造・運転条件がレドックスフロー電池性能に及ぼす影響の集約的評価
1 はじめに
2 過電圧評価実験と電極厚み方向反応分布解析
2.1 過電圧の分離実験
2.2 電極厚み方向反応分布のモデル解析
3 電流密度分布計測と過電圧分布解析
3.1 電流密度分布の計測実験
3.2 過電圧分布のモデル解析
4 集約主要因子を用いた電池性能評価
4.1 集約主要因子と性能評価線図
4.2 集約主要因子を用いた性能評価の有効性
5 おわりに

第17章 レドックスフロー電池の流動場設計を目的としたトポロジー最適化
1 はじめに
2 トポロジー最適化
3 RFBの流動場設計への応用
4 数値計算例
5 おわりに

【第3編:新規レドックスフロー電池の研究動向】
第18章 有機系レドックスフロー電池の高エネルギー密度化を目指した集積型ビオローゲンの開発
1 はじめに
2 代表的な有機系活物質
3 ビオローゲン系の活物質
4 集積型ビオローゲンの性質
5 集積型ビオローゲンの電池特性
6 おわりに

第19章 放射光X線分光によるチタン-マンガンレドックスフロー電池電解液の電子状態解析
1 はじめに
2 X線吸収分光(X-ray Absorption Spectroscopy:XAS)および走査型透過X線顕微鏡(Scanning Transmission X-ray Microscopy:STXM)
3 TiおよびMn K端XAS
4 TiおよびMn L2,3端XAS
5 Mn L3端STXM
6 おわりに

第20章 高密度レドックス高分子を用いた有機レドックスフロー電池の展開
1 はじめに
2 電荷蓄積を担う高密度レドックス高分子の設計
3 高密度レドックス高分子を用いた有機レドックスフロー電池の研究動向
3.1 高密度レドックス高分子分散液による蓄電
3.2 高密度レドックス高分子を用いたレドックスフロー電池の高性能化
4 おわりに

第21章 有機レドックスフロー電池の今後の展望
1 バナジウムレドックスフロー電池と有機レドックスフロー電池の違い
2 有機レドックスフロー電池の構造
2.1 電極材料
2.2 セパレーター
2.3 電極溶液の種類
3 電極活物質の選択
3.1 アンスラキノン(Anthraquinone)
3.2 ビオロゲン(Viologen)
3.3 TEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl)
3.4 その他の電極活物質
4 有機レドックスフロー電池の将来

第22章 バナジウムイオンレドックス型ハイブリッドキャパシタの開発
1 緒言
1.1 はじめに
1.2 電気二重層キャパシタ(EDLC)
1.3 電極材料
1.4 本章の目的
2 実験方法
2.1 概説
2.2 定電流充放電法(CDC)
2.3 サイクリックボルタンメトリー法(CV)
3 バナジウムイオン溶液を用いたEDLCの性能評価
3.1 概説
3.2 電解液の作製
3.3 バナジウム電解液中におけるEDLCの電極性能
3.4 バナジウム溶液中におけるEDLCの充放電性能
3.5 まとめと考察
3.6 総括

第23章 アゾ化合物を活物質としたレドックスフロー電池の特性
1 レドックスフロー電池の実装における課題
2 ABアノライトを用いた非水系レドックスフロー電池の特性
3 まとめ・展望

第24章 リチウムイオン二次電池系への応用を指向した有機材料開発の動向
1 はじめに
2 有機二次電池開発の歴史
3 活物質の分類
4 サイクル特性向上に向けたアプローチ
5 新しい材料群
6 おわりに