硫化物固体電解質の液相合成と全固体電池への応用

 リチウムイオン二次電池(LIB)の信頼性・安全性を向上し、コンパクト化を可能にするためには、全固体化が必須であり、優れた固体電解質の開発と電池応用が望まれています。
本テキストでは、われわれの研究成果を中心に液相から硫化物系固体電解質ナノ粒子を合成する液相加振(LS)法、硫黄過剰添加溶液法(ES-S)法および水溶液系イオン交換(I/E)法と得られた電解質を用いた全固体電池の特性を詳しく述べます。
また、硫化物系固体電解質と電極活物質を複合化し、その微構造を制御に関する手法として電気泳動堆積(EPD)法および核成長(SEED)法を紹介します。
また、大容量Si負極複合体の作製と電子顕微鏡観察および分光法による状態分析の結果を示します。最後に全固体LIBの研究開発動向を概観し、まとめます。

番号
AT20250325
発行年月
2025/03/25
体裁
A4判, 114ページ
フォーマット
紙版
定価
22,000 円(本体20,000円+消費税、送料込)
冊数:

執筆者

【講師】
 豊橋技術科学大学  教授  松田 厚範 氏 

【専門】
 無機材料科学

【略歴】
 1987年04月 日本板硝子株式会社
 1997年04月 大阪府立大学工学部機能物質科学科 助手
 2000年10月 同大学院工学研究科物質系専攻機能物質科分野 講師
 2002年09月 豊橋技術科学大学工学部 助教授
 2006年10月 豊橋技術科学大学工学部 教授

講演者の豊橋技術科学大学・電気・電子情報工学系教授の松田厚範氏は、ゾル-ゲル法、メカノケミカル法、交互積層法、電気泳動堆積法、陽極酸化法などによる機能性材料の作製と応用に関する研究を精力的に行っている。特に最近では、JST-ALCA-SPRING、NEDO-SOLiD-EV、NEDO-SOLiD-Nextなどのプロジェクトを遂行し、硫化物系全固体リチウムイオン二次電池の開発で顕著な業績をあげている。



目次

【習得できる知識】
・イオン伝導体とリチウムイオン電池の基礎、
・液相法による硫化物系固体電解質の合成とその特性、
・液相法の特徴を生かした電極複合体の微構造・界面設計と電池特性、
・全固体リチウムの研究動向など

【キーワード】

全固体電池、固体電解質、硫化物、液相法、活物質、電極複合体、大容量、高安全、液相法、量産性

【プログラム】

1. イオン伝導体とリチウムイオン電池の基礎

2. 液相加振(LS)法によるLi2S-P2S5系固体電解質(LPS)の合成と特性評価

3. 液相加振(LS)法によるLi2S-P2S5-LiI系固体電解質(LPSI)の合成と特性評価

4. 硫黄過剰添加溶液(ES-S)法によるLi7P3S11およびLi6PS5Cl固体電解質の超短時間合成と特性評価

5. 水系イオン(IE)交換法によるLi4SnS4系固体電解質の作製と特性評価

6. 電気泳動堆積(EPD)法によるLiイオン電池正極複合体の作製と界面設計

7. 核成長(SEED)法による電極複合体の作製と全固体電池の構築

8. 大容量Si負極複合体の作製と電子顕微鏡観察および分光法による状態分析

9. 全固体リチウム電池の研究動向のまとめ