ナノ粒子・微粒子の凝集・分散の基礎と電子顕微鏡、X線、放射光による評価手法

■本テキストの主題および状況(筆者より)

★シングルナノから数ミクロンのいわゆる、ナノ粒子や微粒子は、媒質である水などの溶媒に対して、ときに分散し、ときに凝集します。なぜ、分散したり凝集したりするのでしょうか?

→本テキストは上記の疑問に答えるためのテキストとなります。

★平衡論的にはDLVO理論というものがあり、速度論的には急速凝集理論というものがあります。これは、各種ナノ粒子スラリーの他、ナノインプリントやナノインクなどで使える基礎理論となります。

■注目ポイント

★ナノ粒子,微粒子の分散・凝集の平衡論的アプローチであるDLVO理論の考え方と実際の系への応用事例、速度論的アプローチである急速凝集理論について豆腐を題材に具体的に解説!

★凝集要因となる「分子間力」、「van der Waals力」、および分散要因となる「静電的反発力」を知り、特に後者における表面電位とゼータ電位の違いやゼータ電位測定の基礎と実際の測定手法に言及してナノ粒子の振る舞いの全貌を詳細に解説!

★ナノ粒子や微粒子の評価法として「放射光を用いた手法」など種々の方法について解説!

★2024年4月から運用を開始した3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの紹介とそれを用いた測定の実際についても言及!

番号
AT20250930
発行年月
2025/09/30
体裁
A4判, 214ページ
フォーマット
紙版
定価
22,000 円(本体20,000円+消費税、送料込)
冊数:

執筆者

【講師】
東北大学 大学院農学研究科 / 名誉教授・客員教授 村松 淳司 氏

目次

【主旨】
 シングルナノから数ミクロンのいわゆる、ナノ粒子や微粒子は、媒質である水などの溶媒に対して、ときに分散し、ときに凝集します。なぜ、分散したり凝集したりするのでしょうか?
 平衡論的にはDLVO理論というものがあり、速度論的には急速凝集理論というものがあります。これは、各種ナノ粒子スラリーの他、ナノインプリントやナノインクなどで使える基礎理論となります。また各種ヘテロ分散系の科学を応用面や実用面に適用する場合に、抑えておきたい基礎知識ですので、是非身につけてください。
 本テキストでは、身近なコロイドの振る舞いを通して、まず、分散と凝集の本質を知ることから始まり、凝集要因となる分子間力、van der Waals力とは何か、分散要因となる静電的反発力を知り、特に後者における表面電位とゼータ電位の違いや、ゼータ電位測定の基礎と実際の測定手法に言及し、ナノ粒子の振る舞いの全貌を詳細に解説します。また、ナノ粒子や微粒子の評価法として、放射光を用いた手法など種々の方法についても、解説します。さらに、2024年4月から運用を開始した、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの紹介とともに、それを用いた測定の実際についても言及します。


【プログラム】


1.微粒子とナノ粒子
 1-1. コロイドとは
 1-2. ナノ粒子の特徴

2.生活の中のコロイドの分散凝集
 2-1. 牛乳と墨汁
 2-2. ビールと温泉
 2-3. 豆腐は分散する?

3.分散凝集の理論
 3-1. 分子間力
 3-2. vanderWaals引力を特徴づけるHamaker定数(凝集促進因子)
 3-3. 粒子間斥力を特徴づけるゼータ電位(分散促進因子)
 3-3. 分子間引力と帯電粒子の電荷と電位
 3-4. 電気泳動とゼータ電位~液体媒質中の帯電粒子のゼータ電位の評価法
 3-5. Smoluchowskiの式とHuckel式
 3-6. ゼータ電位測定の実際
 3-7. DLVO理論
 3-8. ポテンシャル曲線

4.凝集
 4-1. 豆腐の分散と凝集
 4-2. 急速凝集理論
 4-3. 分散と凝集を応用した工業製品

5.分散・凝集の評価法
 5-1. 電子顕微鏡法
 5-2. X線,放射光による評価
 5-3. 3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの紹介
 5-4. 食品飲料の評価への応用

6.終わりに


【キーワード】
微粒子,ナノ粒子,分散,凝集,DLVO,ゼータ電位,評価,ナノインク


【ポイント】
ナノ粒子,微粒子の分散・凝集の平衡論的アプローチである,DLVO理論の考え方と,実際の系への応用事例,そして速度論的アプローチである,急速凝集理論について豆腐を題材に,具体的に,解説します.これで,苦手な物理化学は克服できます!


【習得できる知識】
・ナノインク・スラリー・懸濁液における分散安定性に関する基礎知識

・凝集・分散の基礎理論と表面電位測定の原理と測定方法

・ナノ粒子や微粒子合成における基礎知識