有機薄膜太陽電池の高効率化の 最新状況と材料開発・今後の展望
★2024年3月28日WEBオンライン開講。 分子科学研究所 名誉教授 平本先生、京都大学 大北先生、理化学研究所 福田先生、千葉大学 吉田先生の4名講師から有機薄膜太陽電池の高効率化の 最新状況と材料開発・今後の展望のテーマをもとに解説する講座です。
■本講座の注目ポイント
★有機太陽電池の原理、効率25%を実現するためのキーポイント、長期的な展望について述べる!
- 第1部 分子科学研究所 名誉教授 平本 昌宏 氏
- 第2部 京都大学 工学研究科/教授 大北 英生 氏
- 第3部 理化学研究所 開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室 専任研究員 福田 憲二郎 氏
- 第4部 千葉大学 大学院工学研究院 教授 吉田 弘幸 氏
【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。
定員:30名
※ お申し込み後、受講票と請求書のURLが自動で返信されます。郵送ではないため必ずダウンロードください。また、同時に送られるWEBセミナー利用規約・マニュアルを必ずご確認ください。
※ 請求書の宛名の「株式会社」や「(株)」の「会社名の表記」は、お客様の入力通りになりますので、ご希望の表記で入力をお願いします。
※ お支払いは銀行振込、クレジット決済も可能です。銀行振込でお支払いの場合、開催月の翌月末までにお支払いください。お支払いの際は、社名の前に請求書番号をご入力ください。
※ 領収書のご要望があれば、お申込み時、領収書要にチェックを入れてください。
※ 2名以上でお申し込みをされた場合は、受講票と請求書を代表者様にご連絡します。※ 当講座では、同一部署の申込者様からのご紹介があれば、何名でもお1人につき11,000円で追加申し込みいただけます (申込者様は正規料金、お2人目以降は11,000円となります)。追加の際は、申し込まれる方が追加の方を取りまとめいただくか、申込時期が異なる場合は紹介者様のお名前を備考欄にお書きくださいますようお願いいたします。
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【本セミナーの主題および状況・本講座の注目ポイント】
■本セミナーの主題および状況
★有機薄膜太陽電池は、塗布型、軽量、フレキシブルという特長をもつ次世代型太陽電池であり、カーボンニュートラル実現に向け注目を浴びています。また、高い光透過性を有する点や重金属を含まない点は、同様の特徴をもつペロブスカイト太陽電池にはない利点です。一方で、エネルギー変換効率は、20%近くまで急激に向上しているものの、シリコンやペロブスカイトに比べるとまだ低く、さらなる向上が不可欠です。本講演では、有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた材料開発と今後の展望について詳しく解説します。
■本講座の注目ポイント
★有機薄膜太陽電池(OPV)は発電材料を含め大部分を有機化合物で構成できる太陽電池です。発電効率は大きくないものの、両面から受光でき、シースルー(半透明)にできる太陽電池です。大気下の印刷プロセスで作製できるため、幅広で長いロール状のPET等のフレキシブルな基板にて大量生産が可能です。上記の独自の特性から、他の太陽電池と比べ、適用される市場が異なります。
講座担当:青木良憲
≪こちらの講座は、WEB上での開催のオンライン講座になります≫
【第1講】 有機薄膜太陽電池実用化のためのキーポイント
【時間】 11:00-12:15
【講師】分子科学研究所 名誉教授 平本 昌宏 氏
【講演主旨】
有機太陽電池の効率は20%に達した。今後、シリコンに匹敵する25%を実現するには、キャリア再結合を抑制による開放端電圧の増大が必要不可欠である。また、長期的には、無機半導体と同様の、励起子フリーの高効率光電流発生が実現する可能性がある。本講義では、有機太陽電池の原理、効率25%を実現するためのキーポイント、長期的な展望について述べる。有機太陽電池の基礎とともに実用レベルの効率を実現する方法について理解することを目標とする。
【プログラム】
1.有機太陽電池の基礎
1-1 原理
1-2 バルクヘテロ接合
1-3 短絡光電流
2.無輻射再結合の抑制
3-1 開放端電圧
3-2 自由キャリアに解離する前の再結合
ージェミネート再結合―
3-3 自由キャリアに解離した後の再結合
―2分子再結合とトラップ誘起再結合―
3-4 曲線因子と再結合電流
4. 基本原理の刷新
4-1 水平接合
4-2 励起子フリーキャリア生成
5. まとめ
【質疑応答】
【第2講】 有機薄膜太陽電池の高効率化の最新状況と材料開発・今後の展望
【時間】 13:15-14:30
【講師】京都大学 工学研究科/教授 大北 英生 氏
【講演主旨】
共役高分子や有機半導体を光発電層に用いた有機薄膜太陽電池の特長を述べたのち、これまでどのような戦略により効率向上が実現されてきたのかについて概説する。その後、電流向上の戦略について、光捕集帯域を拡大するための材料設計や素子構造設計の観点から個別の事例を取り上げながら詳しく解説する。続いて、電圧向上の戦略について、材料の電子準位の制御や界面電子状態の制御の観点から個別の事例を取り上げながら詳しく解説する。最後に、今後の展望として、さらなる高効率化に必要な課題、耐久性、コスト面での課題についても言及する。
【プログラム】
1.有機薄膜太陽電池の特長
1-1 製膜プロセス・物理的特長
1-2 光捕集の特長
2.有機薄膜太陽電池の効率変遷
2-1 材料による効率向上
2-2 素子構造によるブレークスルー
3.電流向上の戦略
3-1 狭バンドギャップ共役高分子
3-2 非フラーレンアクセプター
3-3 三元ブレンド太陽電池
4.電圧向上の戦略
4-1 HOMO/LUMO電子準位の制御
4-2 界面CT状態の制御
4-3 電圧損失の起源
5. 今後の展望
5-1 効率20%超への戦略
5-2 耐久性
5-3 コストの課題
【質疑応答】
【第3講】 高変換効率と長期保管安定性を両立する 超薄型有機太陽電池の開発
【時間】 14:45-16:00
【講師】理化学研究所 開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室 専任研究員 福田 憲二郎 氏
【講演主旨】
柔軟性に富む有機太陽電池は次世代太陽電池としての注目を集めている研究分野である。近年ではエネルギー変換効率の向上が著しく進み、実用化への期待が高まっている。本講演では、有機太陽電池の柔軟性に特に着目し、その最新動向と応用展開の可能性について議論することを目的とする。基板厚さを1µm程度まで薄くした極限の薄さ・軽量性を持つ超薄型有機太陽電池の利点を紹介した後、エネルギー変換効率や安定に関する我々のグループを中心とする最新成果の紹介を行う。その後、応用展開の可能性として衣服貼り付け型太陽電池、皮膚貼り付け型の電源一体型センサ、サイボーグ昆虫への応用などの最新成果を紹介する。
【講演キーワード】
有機半導体、有機太陽電池、次世代太陽電池、フレキシブル太陽電池、フレキシブル、フレキシブルエレクトロニクス、ストレッチャブルエレクトロニクス、
【習得できる知識】
・フレキシブルエレクトロニクスにおける重要な性能指標である柔軟性評価に関する基本的な知識。
・曲げ歪み計算に関する基礎知識。
・フレキシブル有機太陽電池の最新のエネルギー変換効率。
・フレキシブル有機太陽電池の持つ課題についての基本的知識、解決のための技術
・応用に関する紹介を通じて、有機太陽電池の可能性についてのヒントを修得できる。
【講演のポイント】
講演者は有機エレクトロニクスの柔軟性に注目した研究をこれまで行っており、極限の薄さから実現される柔軟性、軽量性を利用した新しい応用を複数提案している。本講演では、柔軟性を実現するための基礎から応用まで広く学習することが可能である。
【プログラム】
1.背景:ウェアラブルデバイスにおける柔軟性・薄さの重要性
2.電子デバイスの柔軟性・伸縮性向上のためのアプローチ
2.1 曲げひずみの求め方と曲げ耐久性を向上させるアプローチ
2.2 曲げ剛性とコンフォーマビリティ
2.3 伸縮性エレクトロニクス実現のためのアプローチ分類
3.超柔軟有機太陽電池の最新の性能
3.1 エネルギー変換効率
3.2 柔軟性
3.3 安定性
4.応用展開の可能性
4.1 皮膚貼り付け型の電源一体型センサ
4.2 スーパーキャパシタとの集積化による柔軟充電システム
4.3 再充電可能なサイボーグ昆虫
【質疑応答】
【第4講】 有機薄膜太陽電池の電子準位・界面電子構造・励起子束縛エネルギーの評価法
【時間】 16:15-17:30
【講師】千葉大学 大学院工学研究院 教授 吉田 弘幸 氏
【講演主旨】
有機薄膜太陽電池では、励起子がドナー・アクセプター界面の電子準位のオフセットを使って電荷分離し、生成した自由電荷が電極に集められることで発電する。本講演では、これらの過程を電子準位の面から解析し、測定の原理や具体例に基づいて理解することを目的とする。最初に有機半導体の電子準位が何で決まるのか、という基本から始める。そして、電極での電荷収集に関わる金属・有機界面の電子準位、電荷分離に関わるドナー・アクセプター界面の電子準について考えていく。最後に、励起子束縛エネルギーについての最新の研究成果に基づいて、太陽電池材料の設計指針を考察する。本講演の特徴は、これまで詳しいことが分かっていなかった空準位(LUMO準位)の最新の知識が豊富に含まれていることである。
【講演キーワード】
低エネルギー逆光電子分光法、励起子束縛エネルギー、バンドギャップ、電子親和力、イオン化エネルギー、有機半導体、界面電子準位接続
【習得できる知識】
電子分光法・サイクリックボルタンメトリーなどの電子準位の測定法の原理の違い・正しい使い方が理解できる。
界面電子準位の考え方が理解できるようになる。
有機半導体の励起子束縛エネルギーの測定法、特徴が理解できる。
【講演のポイント】
講演者は、2012年に低エネルギー逆光電子分光法(LEIPS)を開発し、価電子(HOMO)準位と同等の精度で空準位(LUMO)準位の測定を可能にした。LEIPSは今では世界中の有機半導体研究で活用されている。LEIPSの活用法だけでなく、価電子と空準位の両方の測定からしか分からない有機半導体の特有の評価法についても紹介する。
【プログラム】
1.有機半導体の電子準位
1-1 何が電子準位を決めるのか?
1-2 用語の整理
2.電子準位の測定法
2-1 電子分光法(光電子分光法、逆光電子分光法)
2-2 サイクリックボルタンメトリー
2-3 光学測定によるバンドギャップの見積
3.界面電子準位
3-1 有機・金属の界面電子準位
3-2 界面での反応について
3-3 有機太陽電池のドナー・アクセプター界面の電子準位
4.励起子束縛エネルギー
4-1 測定方法
4-2 物質ごとの励起子束縛エネルギー
4-3 励起子束縛エネルギーの制御方法(物質開発)
【質疑応答】