【講演主旨】
本セミナーでは、MLCC用BT(BaTiO3)セラミックス材料設計の視点で、需要拡大するAIサーバーに求められているMLCCの技術動向を概説します。AIサーバー用MLCCでは小型、大容量、高温信頼性、低インピーダンスなど、ハイエンドで信頼性の高い先端のMLCCが要求されます。これを可能にする技術として、BTセラミック材料の組成設計、MLCCプロセスでのすり合わせがあり、これが国内MLCCメーカーの競争力になっていると言えます。
微細なBT粉末の合成、薄層素子用BTコアシェル構造の形成、および熱力学的酸素空孔の生成、ドナーやアクセプター元素などによる異種元素置換による格子欠陥の制御等の材料設計要素を踏まえ、MLCCの電気伝導や信頼性の理解を進め、長期安定性が必要なAIサーバー用MLCC用BTセラミック材料の要素技術、技術動向を解説します。MLCC用素材、MLCC製造プロセス、品質管理、および故障解析などMLCCに関わる業務を進める上で、セラミックス材料の理解はMLCCプロセスの技術課題への対応、施策に参考になるものと考えます。
【講演のポイント】
AIサーバー用MLCCでは、小型・大容量・高温信頼性などハイエンドなMLCCが求められ、BTセラミックスの組成、構造、信頼性の設計、およびそれに適応したMLCCプロセスの理解を進めると共に、AIサーバー用MLCCの動向を概説する。
【習得できる知識】
・セラミックス、コンデンサ、MLCCに関する基礎知識
・BT基礎知識
・酸化物の格子欠陥と酸素空孔生成
・酸素空孔移動制御
・電気伝導と信頼性
・BTセラミック材料の開発動向
・AIサーバー用MLCCの技術動向
【キーワード】
AIサーバー、MLCC、インピーダンス、低ESL、BaTiO3、Ni内部電極、 強誘電性、還元焼成、格子欠陥、酸素空孔、電気伝導、長期信頼性、加速性試験、CaZrO3、シリコンキャパシター
【プログラム】
1. 積層セラミックコンデンサ (MLCC) の基礎 1.1 セラミックスの基礎
・焼結性
・物質移動、焼成収縮率
・平衡状態図
1.2 コンデンサの種類
・コンデンサの分類、特性、特徴
・コンデンサの生産統計
1.3 コンデンサ-のインピーダンス特性
・コンデンサの用途
・インピーダンス特性とESR
・コンデンサの働き(デカップリング)
1.4 MLCCの概要
・MLCCの構造
・温度補償系誘電体材料、CaZrO3
・BaTiO3(BT)系強誘電性誘電体材料 F特性 B特性、焼結時の粒成長
1.5 Ni内部電極MLCC
・内部電極金属の酸化
・MLCC用誘電体材料および内部電極材料の変遷
・Ni内部電極MLCC用BT材料の変遷
・Ni内部電極MLCC生産個数、チップサイズ
2. BaTiO3 (BT) 誘電体セラミックスの基礎 2.1 BTの強誘電性
・BTの強誘電性と誘電分極
・BTの相転移
・BTのヒステリシスとDCバイアス特性
2.2 微細なBT粉末合成
・微細なBT粉のサイズ効果
・固相法、シュウ酸法、水熱法、加水分解法
・微粒BT粉末のc/a軸比
2.3 MLCC用BT材料の組成
・添加元素種、元素置換
・Baサイト、Tiサイト
・B特性原料の製造プロセス
・B特性原料での添加成分の分散性
2.4 B特性BTセラミックスのコアシェル構造
・コアシェル構造とその役割
・不適切なコアシェル構造とその温度特性
・粒成長と不均一歪み
・比誘電率温度特性への粒成長の影響
3. Ni内部電極MLCC対応のBT材料 3.1 酸化物の還元現象の熱力学
・酸化と還元の熱力学概要
・ギブスの生成自由エネルギー
・酸化還元平衡図(エリンガム図)
・平衡酸素分圧の計算
・BTの酸素空孔生成
3.2 BTの格子欠陥制御
・格子欠陥表記、格子欠陥生成式
・異種元素置換(アクセプター、ドナー)による格子欠陥
・化学量論比の影響
3.3 粒界の役割
・酸素空孔トラップ
・異種元素の偏析
・粒界による長期信頼性の効果
3.4 MLCC用BTセラミック誘電体材料の変遷
3.4.1 アクセプター元素が固溶した BaTiO3 F特性材料 (1980年代)
・半導体化防止
・ルシャトリエの原理
・アクセプター元素置換による酸素空孔導入の課題
3.4.2 アクセプター、ドナー元素が固溶した BaTiO3 F特性材料 (1990年代)
・ドナー元素置換の狙い
・酸素空孔移動の分子動力学シミュレーション
・酸素空孔サイトの第一原理シミュレーション
3.4.3 ドナー元素を添加した BaTiO3 B特性コアシェル材料 (1990年代~)
・コアシェル構造のTEMマッピング
・希土類元素の違いによる電気伝導、信頼性
3.4.4 アクセプター元素が固溶した(Ba,Ca)TiO3にドナー元素を添加したB特性コアシェル材料(2000年代~)
・Ca固溶と格子容積
・Ca固溶による信頼性向上
4. BTセラミックスの長期信頼性 4.1 BTセラミックスの信頼性
・初期故障、偶発故障、摩耗故障
・加速試験、加速性、加速係数
4.2 BTセラミックスの電気伝導性
・バンド図、格子欠陥準位
・電気伝導温度依存性、電極界面での電位障壁
・オーム則、バンド伝導、ドリフト電流
4.3 高電界での電気伝導
・空間制限電流、チャイルド則
・プールフレンケル放出電流、ショットキー放出電流
・劣化したMLCCの電気伝導
4.4 BTでの酸素空孔移動現象
・酸素空孔移動模式図
・電子エネルギー損失分光(EELS)での分析例
・ケルビンフォース顕微鏡での分析例
・内部電極組織と材料劣化
・内部電極組成と信頼性
5. MLCCの製造プロセス 5.1 MLCCの製造工程の概要
5.2 セラミックスラリーの分散
・ビーズミル条件(周速、ボーズ径)
・セラミックス粉末へのダメージ
・分散性、レオロジー特性、フリーなバインダー、吸着バインダー
5.3 シート成形
・シートの乾燥、恒率乾燥、シート品質
5.4 シートの剥離・積層
・WIP(温水等方圧プレス)、材料の流動
5.5 内部電極の薄層化および焼結性
・Ni電極薄層化、Ni粉の微細化
・スクリーン版、ネガ印刷、微細なNi粉合成法
・焼成収縮、カバレッジ、共材BT粉
5.6 脱バインダーおよび焼成
・バインダーの熱分解
・酸素分圧制御、アニール処理
・高速焼成
6. AIサーバー用MLCCの技術動向 6.1 AIサーバー用MLCC市場
・市場拡大の様子
6.2 小型・大容量化
・セラミック素子の薄層化
・ギャップ部の狭小化
6.3 低インピーダンス、低ESL化
・MLCCの電極形状、インピーダンスとノイズ抑制、基板内蔵
・シリコンキャパシター、導電性高分子電解コンデンサ
6.4 誘電体材料の技術動向
・BTとCZ(CaZrO3)材料の比較
・高電圧、高温、高信頼性対応のBT系材料
・CZ系のDCバイアス特性、Cu内部電極MLCC
※受講料の振り込みは、開催翌月の月末までで問題ありません
※前日のお申込みでも対応させていただきます(早めにご登録いただけると助かります)
※講演日にご参加が難しい場合は、録画視聴をご案内しますのでご相談ください2名目様からは一律・22,000円で受講できますので、是非、ご検討ください!