LIVE配信・WEBセミナー
開催日時 2026年12月2日(水) 10:30-16:15
受講料 1名66,000円(税込)より
★2026年12月2日WEBでオンライン開講。東海国立大学機構 岐阜大学 吉村氏、大阪工業大学 和田氏、コニカミノルタ株式会社 山本氏、東海大学 沖村氏が、【スマートウィンドウの省エネルギー原理とサーモクロミックVO₂調光材料の高性能化~薄膜・ナノ粒子コンポジットの設計、低温成膜、光学特性評価および実用化展望~】について解説する講座です。
■本セミナーの主題および状況(講師より)
★スマートウィンドウは、窓の断熱・遮熱性能を適切に制御し、建築物や電動車の冷暖房負荷を低減する省エネルギー技術として、実用化への期待が高まっています。
★なかでも、温度変化に応じて近赤外光の透過・遮蔽を自律的に切り替える二酸化バナジウム(VO₂)は有望なサーモクロミック材料ですが、透明性・調光性能の両立や転移温度の制御、低温成膜、量産性などに課題があります。
★本講習会では、窓の省エネルギー性能と各種スマートウィンドウの基礎から、VO₂薄膜・ナノ粒子コンポジットフィルムの設計、成膜・合成・光学評価、高性能化および工業応用に向けた最新技術までを体系的に解説します。
■注目ポイント
★窓の断熱・遮熱性能と省エネルギー効果の関係を基礎から整理し、多様なスマートウィンドウの原理・特徴から実用化の近い調光技術までを俯瞰!
★温度に応じて近赤外光を自律制御するVO₂を中心に、高透明・高調光・フレキシブル化を目指した薄膜およびナノ粒子コンポジットフィルムの材料設計・作製・評価技術を解説!
★MOD法、マルチスケール光学応答計算、超臨界水熱フロー合成、バイアススパッタ法などを取り上げ、VO₂の低温成膜・高速連続合成・光学特性向上から量産化への展望まで紹介!
講座担当:牛田孝平
≪こちらの講座は、WEB上での開催のオンライン講座になります≫
01 東海国立大学機構 岐阜大学 吉村 和記 氏
02 大阪工業大学 和田 英男 氏
03 コニカミノルタ株式会社 山本 昌一 氏
04 東海大学 沖村 邦雄 氏
10:30-12:00
第1講
講 師
東海国立大学機構 岐阜大学 工学部 / 特任教授 吉村 和記 氏
【プログラム】
窓ガラス自身が日射を制御する「スマートウィンドウ」は、建築分野における大幅な冷暖房負荷低減を実現する技術として、近年大きな注目を集めています。一方で、窓ガラスの断熱性能・遮熱性能と省エネルギー効果との関係については、必ずしも原理が十分に整理・理解されないまま研究や開発が進められている例も少なくありません。
本講演ではまず、窓ガラスの断熱性能・遮熱性能が建築全体の省エネルギー性能にどのように寄与するのかについて、基礎から分かりやすく解説します。その上で、現在世界各地で研究・開発が進められている多様なスマートウィンドウ技術を俯瞰的に紹介します。
さらに、日本において研究が進み、実用化が近づいている3つのスマートウィンドウ技術について、技術的特徴と開発の現状を紹介します。
1.窓と省エネルギー
1-1 窓におけるエネルギーの出入り
1-2 窓の断熱性
1-3 窓の遮熱性
1-4 窓の省エネルギー性能
2.スマートウィンドウの種類と特徴
2-1 エレクトロクロミック
2-2 サーモクロミック
2-3 サーモトロピック
2-4 ガスクロミック
3.実用化の近い調光シート
3-1 調光ミラー
3-2 メタロ超分子ポリマー
3-3 プルシアンブルー
【質疑応答】
【キーワード】
窓ガラスの省エネルギー性能、断熱性能、遮熱性能、調光材料、成膜技術
【講演のポイント】
窓の省エネルギー性能は、断熱性と遮熱性で決まります。まず断熱性については、ほとんどの方が断熱性は材料の熱伝導率で決まると思っておられると思いますが、それは間違いです(本当は熱抵抗で決まります)。本講演を聞くことで、正に目からうろこが落ちるように、断熱性を決める本当の要因が何かということが理解できます。まだ、窓の遮熱性は日射によって決まりますが、その日射は方角によって全く異なります。また、遮熱による冷暖房負荷の低減効果は、冷房負荷の低減と暖房負荷の増加の両方を伴うため複雑です。本講演を聞くことで、日射についても正しい理解が得られ、これにより、スマートウィンドウが何故必要とされるかをよく理解できるようになります。
【習得できる知識】
・伝熱工学による熱の伝わり方
・建築工学による窓の省エネルギー性能
・機能性薄膜作製・評価技術
13:00-14:15
第2講
講 師
大阪工業大学 工学部 ナノ材料マイクロデバイス研究センター / 特任教授 和田 英男 氏
【プログラム】
地球温暖化による気候変動を解決するためには、熱エネルギーを効率的に使用して物質から放出される排熱を抑制することが重要です。二酸化バナジウム(VO2)は温度変化が生じることで、熱的に誘発された相転移によって近赤外域の光学特性の急激な変化を引き起こします。このため、可逆的に低温透明状態から高温不透明状態へ移行して自動的に太陽熱流束を調整することができます。本講座では、有機金属分解法(MOD)を用いて作製した、ナノスケール多孔質モスアイ構造を有するVO2薄膜を応用したサーモクロミック薄層フィルムを紹介します。また、住環境を改善する、省エネ・低コストスマートウィンドウへの現状と将来展望について述べます。
1 住環境を改善するサーモクロミズム
1.1 太陽光放射エネルギーと熱放射抑制
1.2 サーモクロミック薄層フィルムと応用
1.3 日射遮蔽効果と冷暖房負荷低減効果
2 酸化バナジウムとMOD法による成膜方法
2.1 酸化バナジウム結晶
2.2 MOD法によるVO2薄膜の成膜方法
3 MOD法によるガラス基板への成膜
3.1 バッファ層挿入による不純物拡散防止
3.2 ガラス基板への低温成膜
4 FDTD法による熱放射抑制シュミュレーション
4.1 FDTD法による光電磁場解析
4.2 ナノ粒子層状構造モデル
5 サーモクロミック薄層フィルムの作製と評価
6 今後の課題および将来展望
【質疑応答】
【キーワード】
有機金属分解 (MOD) 法、二酸化バナジウム (VO2)、サーモクロミック、相転移、日射遮蔽性、日射取得性、住環境
【講演のポイント】
サーモクロミック薄層フィルムは、①室内に自然光を効率的に取り入れる高い透明度、②入射近赤外光を安定して調光する能力、③室温付近への転移温度、④フレキシブル性から省エネ性能を効率的に向上できます。
【習得できる知識】
1. 赤外線スマートウィンドウの基礎と応用
2. 日射遮蔽効果と冷暖房負荷低減効果
3. 有機金属化合物分解法(MOD法)の原理
4. 多孔質モスアイ構造の原理と反射低減効果
5. サーモクロミック特性評価手法
6. FDTD法による多孔質薄膜の解析評価
14:30-15:15
第3講
講 師
コニカミノルタ株式会社 技術開発本部デバイス技術開発センターマテリアルサイエンス部開発グループ / グループリーダー 山本 昌一 氏
【プログラム】
建築物や電動車の省エネルギー化に向けて、外気温に応じて太陽光の熱成分を自律的に制御する「スマートウィンドウ」が注目されています。本講座では、温度によって近赤外光の透過・遮蔽を切り替える二酸化バナジウム(VO₂)の基礎から、透明性と調光性能を両立するナノ粒子・コンポジットフィルムの設計までを解説します。さらに、マルチスケール光学応答計算による材料設計と、超臨界水熱フロー合成による高速・連続合成を組み合わせ、試作回数と開発期間の短縮を目指した実例を紹介します。
1. スマートウィンドウが求められる背景
建築物・電動車の省エネルギー化、夏の遮熱と冬の採熱を両立する考え方
2. サーモクロミック材料VO₂の基礎
相転移に伴う結晶構造・電子状態・近赤外透過率の変化
3. VO₂ナノ粒子コンポジットフィルムの設計課題
酸化数、結晶相、粒子径、形状、分散状態の制御と、透明性・ヘイズ・調光性能の関係
4. 計算科学を活用した光学特性設計
第一原理計算から粒子・分散材料までをつなぐマルチスケール光学応答計算
5. 超臨界水熱フロー合成による高速試作
VO₂(M)ナノ粒子の高速・連続合成、微粒子化および元素添加
6. コンポジットフィルムの評価と開発事例
光学スペクトル、可視光透過性、ヘイズ、近赤外調光性能の評価
7. まとめ
計算・合成・評価を連携させた材料開発の考え方と今後の展望
【質疑応答】
【キーワード】
スマートウィンドウ/省エネルギー/サーモクロミック/二酸化バナジウム(VO₂)/ナノ粒子/コンポジットフィルム/近赤外光制御/マルチスケールシミュレーション/超臨界水熱フロー合成/データ駆動型材料開発
【講演のポイント】
温度で近赤外光を自律制御するVO₂ナノ粒子コンポジットフィルムを題材に、計算による設計、ナノ粒子の高速・連続合成、フィルム化・光学評価を一つの開発ストーリーとして解説します。材料科学の基礎と実用化を見据えた開発方法論を同時に学べる点が特長です。
【習得できる知識】
・スマートウィンドウおよびサーモクロミック材料の基本原理
・VO₂の相転移と近赤外光学特性の関係
・VO₂ナノ粒子の酸化数・結晶相・粒子径・分散状態を制御する際の要点
・透明性、ヘイズ、可視光透過性および近赤外調光性能の評価の考え方
・マルチスケール光学応答計算を材料設計に活用する考え方
・超臨界水熱フロー合成による高速・連続ナノ粒子合成の特徴
・計算・合成・計測を連携させ、試作回数と開発期間の短縮につなげる方法論
15:30-16:15
第4講
講 師
東海大学 工学部電気電子工学科 / 教授 沖村 邦雄 氏
【プログラム】
二酸化バナジウム(VO2)は室温で単斜晶系の結晶構造を有し、約68℃で正方晶系へと変化して電気伝導性が3~4桁以上高まる絶縁体―金属相転移(Insulator-Metal Transition:IMT)を引き起こす。高温金属相は赤外光を遮蔽する一方、可視光は透過する。この特性を活かし、赤外光領域で透過率を自動調光するスマートウィンドウ材料への応用が期待されている。本発表では、TiO2をVO2の結晶性向上のためのバッファー層及びVO2上へコーティングすることで反射防止膜として導入した際の透過率への影響について報告する。
スマートウィンドウ応用はガラス上への成膜が求められるため、工業的に広く利用されている反応性スパッタ法による低温堆積が重要な技術となる。VO2は上記のように60~70℃において赤外光を遮蔽する性質を有するが、化学組成が異なるVOxが生成し易いため、化学量論比のVO2薄膜の作製は難しい。また、低温での光透過率を確保するためにはVO2層の厚さを100 nm程度に抑える必要がある。本講座では、反応性スパッタ法によるVO2薄膜を250℃程度の低温で堆積する技術について説明する。VO2結晶が成長し易いバッファー層の導入と、基板に負バイアスを印加するバイアススパッタ成膜法が主要なポイントとなる。
最近の研究において、VO2の下地バッファー層として酸化チタン(TiO2)を150~200 nm程度堆積すると、転移特性に優れるVO2結晶が成長することを見出した。TiO2ルチル結晶は高温VO2と格子整合性があり、室温堆積であってもTiO2微結晶が生成され、VO2結晶の成長をアシストすると考えられる。結晶性はラマン分光法で検証された。
VO2の低温成膜のために導入した基板バイアス法は、絶縁性のガラス基板に対してバイアスが掛かる高周波印加を利用した。数~20 W程度の高周波(13.56 MHz)を印加することで、基板には-20 ~-200 V程度の負バイアスが発生し、プラズマ中のイオンを基板へと加速し、低温結晶成長を実現できる。基板バイアスの効果は極めて高く、明確である。
加えて、TiO2とSiO2の2層膜をVO2膜上へ堆積することによる反射防止膜(ARC)の採用により、低温における赤外光の透過率を顕著に向上させることができた。光学設計による透過率制御はよく知られた技術であり、更に改善できる可能性がある。
以上のように、TiO2バッファー層を用いるVO2結晶成長と光学設計によるスマートウィンドウの高性能化について説明し、工業的な応用を展望する。
1、スマートウィンドウ用VO₂薄膜の基礎
1.1 VO₂薄膜の光学特性と赤外光遮蔽機能
1.2 反応性スパッタ法による成膜と課題
1.3 化学量論比および膜厚制御の重要性
2、TiO₂バッファー層を用いたVO₂結晶成長
2.1 TiO₂バッファー層の導入効果
2.2 TiO₂とVO₂の格子整合性
2.3 室温堆積したTiO₂微結晶による結晶成長の促進
2.4 ラマン分光法による結晶性評価
3、基板バイアススパッタ法によるVO₂薄膜の低温成膜
3.1 絶縁性ガラス基板への高周波バイアス印加
3.2 高周波印加条件と負バイアスの発生
3.3 イオン加速による低温結晶成長
3.4 250℃程度におけるVO₂薄膜の形成
4、反射防止膜による光学特性の向上
4.1 TiO₂/SiO₂二層反射防止膜(ARC)の形成
4.2 低温時における赤外光透過率の向上
4.3 光学設計による透過率制御と改善可能性
5、VO₂スマートウィンドウの高性能化と工業応用
5.1 結晶成長制御と光学設計を組み合わせた高性能化
5.2 反応性スパッタ法を用いた量産技術への展望
【キーワード】
温暖化対策用スマートウィンドウ開発、赤外光スイッチング、酸化物結晶成長、絶縁体-金属転移材料
【講演のポイント】
主材料のVO2薄膜は結晶化が難しい化合物である。そのVO2を工業応用に適する250℃程度の低温で結晶成長させる反応性スパッタ成膜法を開発した。ポイントは適切なバッファー層の導入と、基板負バイアスの導入である。バッファー層としてまず配向性の酸化亜鉛(ZnO)を採用し、高配向のVO2成長を実現したが、高温耐性に優れ光学的に広く利用されているTiO2膜を導入しても良好なVO2結晶薄膜ができることを示した。更に光学設計による高透過率をTiO2/SiO2積層膜で実現したことは、化学的な安定性及び安価な材料で実現できることに繋がった。
厚さ100 nmのVO2薄膜を動作層として、トータルとして400 nmの極薄積層膜を堆積したガラスによるスマートウィンドウは益々温暖化すが進行する近い将来において、すべてのビルや建造物に採用される可能性を秘める技術となり得る。
【習得できる知識】
【1】 酸化物結晶薄膜の堆積に適するバイアススパッタ法
【2】 積層薄膜の構造と評価方法
【3】 スマートウィンドウ開発の現状と動向
【4】 薄膜による光学設計の効果
| セミナー番号 | S2611314 |
|---|---|
| セミナー名 | スマートウィンドウ |
| 講師名 |
第1部 東海国立大学機構 岐阜大学 工学部 / 特任教授 吉村 和記 氏 第2部 大阪工業大学 工学部 ナノ材料マイクロデバイス研究センター / 特任教授 和田 英男 氏 第3部 コニカミノルタ株式会社 技術開発本部デバイス技術開発センターマテリアルサイエンス部開発グループ / グループリーダー 山本 昌一 氏 第4部 東海大学 工学部電気電子工学科 / 教授 沖村 邦雄 氏 |
| 開催日時 | 2026年12月02日(水) 10:30〜16:15 |
| 会場 | ※会社やご自宅のパソコンで視聴可能な講座です |
| 受講料 | 【1名の場合】66,000円(税込、テキスト費用を含む) |
| 定員 | 30名 |
| 備考 | ※ お申し込み後、受講票と請求書のURLが自動で返信されます。基本的にはこちらで受付完了です。開催前日16:00までに再度最終のご連絡をいたしますので、しばらくお待ちください。請求書と受講票は郵送ではないため必ずダウンロードください。また、同時に送られるWEBセミナー利用規約・マニュアルを必ずご確認ください。 キャンセルポリシー・特定商取引法はこちら |